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8月17日(金)



本日、夏コミにサークル参加しました。

来てくださった方、ありがとうございます。

買ってくださった方、ありがとうございます。

次回は11月のコミティアに参加する予定です。

ですがWebでもばしばし小説を書いていく予定です。

よろしくお願いいたします。









2月3日(土)



君にもし、丸1日自由な時間が与えられたとすれば、君は何をするだろうか。

少しでいいから考えてもらえれば問題ない。

できるなら答えを聞いてみたいところだ。

普段疲れているから寝たいと言う人もいるだろうし、遊びたいと言う人もいると思う。

あるいは試験が近いからできるだけ勉強したいとか、後が楽になるから仕事をしておきたいとか、きっと意見はいろいろだろう。

どれであっても僕は否定しない。

というより、僕がどうこう言っても意味がない。

それぞれの環境があって、立場があって、そして何よりそのときの気分でなんと答えるかは違うだろう。

僕だって気分によって答えは全然違う。

それは実におもしろいことだけれども、今回はその話は置いておくことにしよう。

残念なことに今回の僕の役回りは語り部だからね。

おっと、このまま僕がだらだらと話してしまう前に軽く自己紹介しておこう。

僕は橋村桂人(はしむらけいと)。

24歳独身、一応彼女はいる。

大卒で普通の会社に入って普通のサラリーマンになった凡庸な一般人。

ちょっと哲学的なぐらいだ。

そうでもないと、突然語り部になってもこんな話はできないんじゃないかな。

さて、話を続けようか。










2月10日(土)



君にもし、毎日お金を与えられるとすれば、君はどのように使うだろうか。

勘の鋭い人は僕が言おうとしていることがもうわかってしまったと思う。

だけどあえて続けさせてもらうことにしよう。

君には毎日86400円与えられる。

どう使うかは自由だ。

だけれども、決して貯金に使うことは許されない。

必ず毎日使い切らなければならない。

一体どんな風に使うか、少しでいいから考えてほしい。

やっぱりこれも気分によって全然違う答えが出るんだと思う。

そして、この質問の真の意味はわかるだろうか。

この質問は割と使い古されていて、聞いたことがある人もたくさんいると思う。

もしくは、この86400という数字に馴染みがある人もいるんじゃないだろうか。

86400は、秒数に換算した1日だ。

24時間。

そう、0時になった時点で次の86400秒が始まる。

貯蓄は一切できない。不可能。インポッシブル。

万人に平等に与えられ、どの呪縛から何者も逃れることはできない。

たとえタイムマシーンができたとしても、自分の時間を取り戻すことはできない。

ドラえもんの道具にある、タイム風呂敷でも決して戻ってこないだろう。

たとえそれによって自分の状態を戻せたとしても、自分が経験した時間は失われることになる。

そういった意味で本質的に平等で、逃れることができない、貯蓄もできない、だけれど確実に与えられるのが、時間。










2月17日(土)



さて、そろそろ考えるのに飽きた人は眠くなってくるころだと思う。

ということで抽象的な話から、具体的な僕の話に移っていくことにする。

突然だけど、僕にも時間ができた。

きっちり24時間ってわけじゃない。

ただ、24時間に区切るとちょうどいいと思ってるだけでしかない。

何せ世の中なんでもデジタルなものばかりってわけじゃない。

わかりやすいから、の一言ですっぱりと切ってしまうわけだ。

厳密な時間を設定してややこしくなっても面倒だからね。

で、だ。

僕はこれからいろんな人に会うつもりなんだ。

どうしてかって?

会いたいからだよ。

それだけ。

時間ができて、会いたいと思うから会うだけ。

せっかくできた24時間だから休まずにいろんな人に会うことにしよう。

どうしても移動時間はタイムラグになってしまうから、ずっと誰かに会っている状態にはできない。

でもできる限りその時間を短縮することはできる。

今は便利だね。

新幹線も飛行機もあるから、金さえあれば結構なんとかなるもんだ。

よし、そろそろお昼の時間だ。

そうだなぁ・・・カレーが食べたいなぁ。

デザートに柿の種もいいなぁ。

とりあえず何か入れよう。

その後に行動開始。

僕は食事の時間でもおやつの時間でも前倒しが好きなんだ。

人生にフライングはないからね。










2月24日(土)



―――1200―――


自由な24時間開始。

明日の昼12時までが自由時間だ。

では早速考えていこう。

まず、人に会うことを最優先として、できるなら食事かな。

酒も飲みたいけど、今回はそこまで時間がないから我慢しよう。

飲みすぎて寝ちゃっても困るからね。

じゃあ誰に会おうか。

順番も考慮しないといけない。

だから人と同時に大雑把に場所まで考えよう。

起点は僕のいる北浦和。

終点をどこにするかが悩む。

候補地としては両親のいる福岡、貴人のいる鹿児島、ばあさんがいる沖縄かな。

ばあさんは省いてしまってもいいかもしれない。

会っておきたいところだけど、人数を考えると厳しい。

今のところ13人、実質11人を考えてる。

基本的には南下、福岡を先にするか鹿児島を先にするかが悩むところかな。

あぁ、ちょっといいことを思いついたから鹿児島にしよう。

そこから福岡に行けば効率的に動ける。

ということは。

一旦メモにまとめてみよう。



東京:るな、友代さん、直果さん、織広さん、陽秀

豊橋:宗二

福岡:両親、美和ちゃん、文治、塚井さん、塩旗くん、一伊

鹿児島:貴人、その彼女



うーん、明らかに豊橋が厳しい。

場所的には外しておきたいものの、人で言うなら外せない。

困ったものだ。

・・・と思ったが今は実家に戻ってるんだったな。

先日帰省した話をしていたのを思い出した。

ということは、東京→鹿児島→福岡ルートはほぼ確定か。

東京→鹿児島ルートが飛行機に拘束されるぐらいで、他は比較的自由に動けそうだ。

では飛行機の時間から調べよう。

最終便が早かったら、始発になるかもしれないな。

・・・最終便が1900発で2050着。

始発だと0710発の0900着。

これは最終便で十分だね。

ここからだと羽田空港までバッファも考えて2時間としても17時出発で間に合う。

都内に出てからにするけどね。

あとは誰に何を強要するかだね。

13時にここを出て、1340に池袋、そこでるなに会うとして、1500に秋葉原で陽秀、そこからがつながらないな。

社会人は18時定時が当たり前だからな・・・17時に出てきてもらうことにしようか。

こっちから出向けば少しぐらいはなんとかなるだろう。

場所も知らんが。

でもそうなると織広さんが無理そうだな・・・どうしたものか。

鹿児島に到着してからは比較的余裕があるな。

貴人には明日1日もらうことにしよう。

0時に出発すれば福岡には4時ぐらいには着く。

運転を任せきりというのも悪い気はするけど、僕に運転させてはくれまい。

4時からは順番さえ考えればそれほど問題ないな。

とことん夜更かししてる人間と朝が早い人間を優先して、最後に朝が弱い人間を持ってくればちょうどいい。

こうなると貴人をどうやって説得するかが鍵になるな。

ということは先に貴人を落としてから予定を詰めて他の人にも連絡ってところかな。

まだ12時10分だから社会人も昼休み時間だろう。










3月3日(土)



―――1245―――


不思議だ。

貴人の説得にはやはりそこそこ時間がかかったものの、他の人間は僕の想定以上にタイミングが良い。

友代さんは有給休暇を取っていて午後は空いている。

織広さんは渋谷で仕事があり、少しなら抜け出せる。

直果さんは16時前後なら少しだけ時間を作れる。

陽秀は就職活動で秋葉原に出てくる。

るなは元から大丈夫だとわかっていた。

福岡の方は元々それほど問題なかった。

タイムテーブルも簡単に組めた。

少々タイトなスケジュールになったから、一応メモを持っていくことにしよう。

13時出発だ。










3月10日(土)



―――タイムテーブル―――


1300 出発
1340 池袋、るな
1440 池袋発、るな別離
1450 渋谷
1510 渋谷発
1540 秋葉原、陽秀
1600 秋葉原発
1615 品川、友代さん、直果さん
1630 直果さん離脱
1730 品川発
1800 羽田空港
1900 羽田空港発
2050 鹿児島空港着、貴人、その彼女
2300 鹿児島発、貴人彼女離脱
0300 久留米、塩旗くん
0330 久留米発
0400 二日市、一伊
0430 実家、一時休息
0730 実家、両親
0800 二日市、文治
0900 塚井さん合流
1000 二日市駅、宗二
1100 二日市、美和ちゃん
1200










3月17日(土)



―――1340―――


「どうしたの突然?なんかあった?」

「うん、まぁ、いろいろ。」

会った瞬間から驚きと喜びを綯い交ぜにした表情で口を開こうとする彼女であるるなを沈黙で制する。

気持ちはわからなくもないけど、この後のことを考えると僕としてはやや耐え難い。

ただ、こうして喜べるような状態であるからこそ今日突然呼び出しても会えた。

それでよしとしよう。

僕は口にも顔にも出さずにるなのことを考えつつ、目的地に向かって歩いた。

そこは駅からほど近い喫茶店で、平日の昼過ぎということもありちょうど人が少ない時期だった。

多分15時かそこらになるとまた人が多くなるんだろう。

予定ではそれまでにるなは彼女でなくなるんだけど。

「何か食べる?」

「ん、さっきご飯食べたからいらない。」

一応確認だけしてレジで注文する。

受け取った飲み物を手にテーブルについた。

「ねぇ、ほんとにどうしたの?急に会いたいって。」

「言いたいことがあって。電話では難だから、会って言おうかとね。」

「なになに?」

期待のまなざしを受けて、僕は閉口した。

すぐに言い出すことができず、一旦目を閉じて視界からるなを消し、深呼吸する。

これは乗り越えないといけない。

僕のためであり、るなのためであり。

「るな、僕たちは付き合って何年になるんだっけ?」

「この前で5年じゃん。もう忘れちゃった?」

5年というところで嬉しそうに声が跳ねた。

後ろの部分は怒りというよりはどうしたの?とでも言いたげな調子だった。

誕生日だとか記念日だとか、そういった細かいことは僕の方がよく覚えている。

そして5年経過したことだって忘れてない。

その中では本当にいろいろあったけど、回想として今思い出さなければならない情景がいくつかある。

僕は執念深い自分の性格に少しだけ感謝した。

こういったところに使う記憶力はなぜか人並み外れてる。

あんまり良い傾向とは思えないけど、使えるときには使うしかない。

「るなは僕と付き合ってきて、何か気になることはあるかい?」

「んー・・・あるといえばあるけど・・・なんで?」

「僕は結構ある。全く覚えがない、とは言わないと思うけど。」

「・・・うん・・・」

僕の含みのある言い方に一気に声がトーンが落ちて、気分も沈んだるな。

やっぱり苦手だな、ケンカしてるわけでも、腹が立ってるわけでもないときにこういう切り出し方をするのは。

なんだか八つ当たりしているような気分になる。

八つ当たりは僕がやられたらかなり嫌なことだし、だからこそやりたくもない。

とは言え、自分の美学よりも優先する事項があるわけで。

「思うに、基本的な考え方は同じなんだけど、もっと致命的な、深刻な事態に陥ったときの対処が違うんだよね。」

「・・・?」

「わかる?」

「わかんない。」

「例えばね。るなが誰かとケンカしてたら、僕はたとえるなが悪くてもるなの味方をする。もしくは、最初から味方しないで傍観してるかもしれないけどね。ただ、るなは僕に平気で敵対する。」

「そんなことないよ!」

「そう?去年の2月のときはそうだった?僕が悪い面はあるにしても、結果的に僕に矛先を向けたと思うけど。」

最後に「どう?」と付け加えると、るなは視線をテーブルに落として黙り込んだ。

僕はあらかじめ用意しておいた筋書き通りに話を進めてる。

るなのことは僕がよくわかってる。

自惚れかもしれないけど、少なくとも僕に対する行動はほとんどわかる。

今言った去年の2月のときは予想外だったけどね。

「僕が正しくないときに僕を諭してくれるのは正しいことかもしれない。ただ、僕としては矛先を向けられたら刃を向ける。あのときは結局、僕に一番負担がかかったことはわかってるよね。」

「・・・ごめんなさい・・・」

「正直な話ね。正しい正しくないっていうのは難しい。でも、はっきり言えることは、僕にものすごく負担がかかってるってこと。去年の2月の話だけじゃない。ずっと前からそう。」

「でも、私は私でできることを・・・」

「それはわかってるから、前は言わなかった部分もあるよ。でも一昨年はどうだった?なんで僕が倒れたか、わかってるよね?」

僕の話の振り方はるなを追い詰める方向にしか持っていってない。

たぶん、るなもそれをわかってるとは思う。

それでも僕がこういう話し方をするのは、この方法が一番効率的だと考えているから。

るなはだんだん声が小さくなって、反論もできない状態になってきてる。

「割と何度も話してることだからわかってると思うけど、僕はこれでも我慢してて、るなが変わってくれないかと思っていろいろ言ってるよね。でも、肝心なところでるなは変わってないと思うんだよ。どこかで僕を拒絶してると思う。」

「そ、そんなこと・・・」

「ないって言い切れる?だったらなんで行動が伴ってないの?僕は今までの結果から言ってるだけだよ。」

もう返ってくる言葉はなかった。

ただ、もうちょっとダメ押しをする。

とどめに近いけど。

「僕はね、こうしてるなにばかり言ってるのもダメだって思ってる。だからこそ去年の学園祭のときには、僕は落ち着いてどう対処しようか考えて、るなに相談した。るなが執行部に通報すればって言うから僕はそうした。その後、るなはどうしたか、覚えてるよね。」

この話ははっきり言って僕の切り札に近い。

これを言うと無条件にるなが悪いという話になる。

この日までの僕の行動に問題はあったけど、学園祭のときだけは僕に非はなかった。

だけど、僕はるなの周囲全員を敵に回した。

今までの蓄積といえばそれまでかもしれないけど、僕の味方が皆無になったことはるなの周囲全員との断絶に等しい。

そもそも、るなの周囲との付き合いがあったこと自体が異常だとするなら、正常な状態に戻っただけなのかもしれない。

そうなると、そこに残る事実はるなが僕の味方をしないということだけだろう。

ただるなの立場からすれば友だちがこぞって敵視する相手をかばうことなんてできないだろうけどね。

少なくとも僕ならできない。

それ以前に僕はそういう状況にはしないだろうし、付き合う人間も付き合い方も選ぶんじゃないかとは思うけど。

「るな、僕は自分が間違ってることを認めるから成長しようと思ったし、ここまで変わってきた。るなはどうなのかな?」

この質問は酷だろう。

本人としては変わっていると思っているだろうけれども、そう言ったとしても僕がそうは見えないと言うだけで全て否定される。

予想に難くない返事の代わりに、言葉にならない感情を悲壮な表情と涙が物語っていた。

周りに客は少ないけど、僕たちが静かに繰り広げている痴話喧嘩に気付いてちらちらとこっちを窺ってる人もいる。

どう見ても僕がるなを泣かせているようにしか見えないけど、その通りといえばその通りだろう。

だけど、残念なことに本当に泣き出すと思うことを僕は言う。

「僕はもう無理だよ。終わりにしよう。」

「・・・え?」

「別れよう。今。ここで。」

何を言っているのかわからないといった表情なのか、それともあまりにも衝撃的過ぎて頭の中が真っ白になってしまったのか。

顔を上げたるなの表情は今までに見たことがないぐらい驚きに満ちていた。

「そんな、一方的に・・・」

「僕は以前にも話したはずだよ。僕は我慢してるけど、努力するなら待つって。でも、僕にとってるなの努力は最大限の努力に見えない。るなが変わる前に僕はまた倒れるよ。」

「そんなことない!私、迷惑かけないから、もっとがんばるから・・・」

「もう遅いんだよ。」

「待って!」




続きは日記にて



管理者:如月桂
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